言語の吸引力
私達は常に言葉と関係を持っている。
人と話すのも、文字を書くのも、頭の中の描写も最後は言葉に表してまとめている。
「言葉から離れたい!」と思っても、この思い自体も言葉で構成されている。
そのくらい切っても切れない関係なのである。
「言葉」の意味を調べてみると、
・・・語、単語や連語
といった、とても単純で無味無臭な意味が出てくる。
だが、人類にはこの「言葉」の味気なさを感じさせないような、圧倒的な味や香りを持たせた言葉を放つ者がいる。
その者から放たれた言葉は人の意識を吸い込み、人の感情を操り、場合によっては人生を変えてしまうほどの力を持つ。
よくある言い方では「言葉は魔法」といわれる。
私は今までこの魔法の力を全く感じなかった。
どんな格言やことわざなど、言い伝えられてきた言葉を良い言葉だと頭の中に思い込ませ、「良い言葉な気がする」と刷り込んで生きてきた。
悪く言えば鈍感であり、薄情な人間だ。
それでも正直「どうでもいい」と思っていた。
別に相手に話す時に誤解なく簡単に伝わればそれでよかった。
だが、この前番組でタレントが小説を書いてみる企画があった。
その小説を書いたタレント自身が冒頭を朗読し、評価を受けると言った企画だった。
ほとんどのタレントが「ストーリー」や「文章構成」のようなところで引き込もうとしていた。
しかし、1人だけ”最初の一文だけ”でその物語の世界観に引き込み、その続きを「読みたい!」と思わせる本を書いている人がいた。
私は、その”たった”一文の影響力がここまで大きいとは思っていなかったため、思わず「すげぇ」と声を漏らしてしまった。
言葉を上手く使う者はそれだけで魅力的である。しかもそれは容姿の魅力と違い、簡単には飽きない魅力である。
ようやくその素晴らしさに気付き始めた。
自分もそんな能力を身に付けたい!と確固たる意志を持った。
とは思ったものの、その力を身に付けるにはどうすれば良いのか、まっっったく見当がつかない。
そもそもこの歳になるまで言葉に対してそんな見方をしていなかった。
全く違う使い方のクセができてしまっている。
果たしてこのクセの矯正は可能なのだろうか。
もし、この「言葉力」の訓練をしている人がいるならば、その訓練方法をご教示願いたい。