TKの時代

先日、小室哲哉氏が約2年ぶりに音楽シーンに帰ってきた。


言わずと知れた天才アーティストだが、ここでは新曲「Route246」を聴きながらゆったりと感想を述べていく。


まずイントロからシンセの音色が鳴り響き、転調からキーボードの強烈なアタックが追加される。

これでもかというほど特徴的なTKサウンドを鳴らした後、主題のメロディが聞こえてくる。


メロディと対になる旋律を置かずにメロディに全注目を集め、メロディのインパクトを強烈に残している。一度全曲を聴いたらしばらく頭から離れなくなるほどだ。


Bメロは次第に迫り上がる音程に、裏切りの連続を感じさせるとともに、またやってくる主題のメロディに期待を膨らませる。


サビに来た。強烈なキーボードとパーカッションのアタック音に力を感じ、転調して解放される。


落ちサビからラスサビにかけて、これでもかと言うほど主題のメロディを聴かせ、一気にゴールへ向かう。


決してメロディを邪魔しないこの構成はTKサウンドの特徴の1つ。

「小室進行」とやらもほぼ曲の全体で聞かれる。

Get Wildをよく弾くバナナマン日村さんにも是非弾けるようになってほしい一曲である。


とまあ、それっぽいことを書いたところで

この曲を聴いた人はどこか「懐かしい」と感じた人も多いのではないだろうか。


懐かしいと感じるのは忘れていた以前の時代を思い起こさせるからである。


小室哲哉ブームだった1990年代。彼の曲を聴いたことがない日本人はほとんどいない。


さらにその時代を生きた人の子供である私たちも懐かしいと感じる。

親が聴き、テレビで90年代の映像が流れることで、生まれてなかったわたし達にもその存在感を残している。


TKブランドとも言える音楽は日本の音楽シーンになくてはならない存在となっていた。


時代は移りゆくもので小室氏といえどもヒット曲を量産し続けることは容易ではなかった。(音楽的な理由ではない部分があるというのも難しい)


音楽活動は続けていたが、2018年の報道をキッカケに突如引退を宣言する。


そして約2年が経ち復活をした。


この2年という年月は私たちの中のTKサウンドへの「期待」を静かに増幅させていたのかもしれない。


復活のサウンドはとてもたくましく、強烈であった。


日本の文化がまた1つ動き出したことに嬉しくなった。